* カラーズシリーズと色のお話。
カラフルなシリーズ『カラーズ』は
色と色の組み合わせによって自然にできる化学変化を作品にしたものです。
元々ガラスの色は鉱物などを調合してできていますが、
2色重ねると、中に含まれる鉱物同士が反応し、意外な色になることがあります。
例えば、濃赤と朱赤が重なった部分は焦げ茶っぽくなったり、
黄色と白が重なった部分はグレーのような茶色のような色になったり。
『金赤』と呼んだりする赤色には金が含まれていたりします。
私の銀箔を巻いているシリーズ、ルナは箔とガラスが接している面が黄色っぽくなるので、月のような色だなぁと思い、ルナと名付けました。
ということで、黄色には銀が含まれていたり、それぞれいろいろな鉱物を調合して作られているようです。
透明色(半透明色)とマット色(主に白)の組み合わせもみる方向によって色が違って、
入れる飲み物によって雰囲気が変わるので面白いです。
実は最近よく制作しているクリアのシリーズよりも
このカラーズの方が私の作品のなかでは歴史は古いです。
初期の頃20年くらい前は色の作品ばかり作っていました。
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もっと詳しい色のお話。
技術的なことをいうと、色によって(中に含まれる鉱物の影響かと思いますが)柔らかくなる温度帯も違うので、
大胆なデザインの2色使いは温度コントロールが難しいです。
温度管理を誤ると吹いた時にどちらかの色だけが
プウッと膨らみすぎて肉厚が偏ってしまうのです。
色の境目で微妙に厚みが違っていたりすることも魅力のひとつかもしかれないです。
あと、当然色によって価格が全然違います。
油絵の具や日本画の絵の具は鉱物そのものの色を削ってつくり出しているので、色によって価格が全然違いますよね。
油絵で使うバーミリオンという色が大好き過ぎて、
けど、高過ぎてなかなか買えませんでした。
美大受験のために油画科からデザイン科に変わった時、
デザイン科で使うアクリルガッシュの人工的な色に
どうしてもなじめなかったのを覚えています。
油絵の具の自然の色は圧倒的に美しいから。
ガラスでも同じことがいえます。
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©長野 史子